システムソフトウェアとは,アプリケーションを動かすための基盤ソフトウェアの総称で,オペレーティングシステムがその代表格です.河野研究室では河野教授を筆頭に,オペレーティングシステムや仮想化テクノロジーに軸足を おきつつ,クラウド・コンピューティング,ディペンダブルコンピューティング,セキュリティなど様々な研究テーマに取り組んでいます.
What's New !当研究室で進めている研究プロジェクトは大きく 4 つの分野にまとめることができます.それぞれの研究が互いに無関係に進んでいるわけではなく,相互に刺激を与え関連しあいながら新しい技術を生み出しています.
仮想化テクノロジーをさまざまな分野に応用することを狙って研究を進めています.仮想化テクノロジーは大きな可能性を秘めた技術であるにもかかわらず,現在の応用例を眺めてみると,まだまだ古典的な応用事例に留まっていると言わざるを得ません.
河野研究室では仮想化テクノロジーの新しい可能性を求めて,さまざまな応用事例を発表しています.スパイウェアやルートキットの検出,オペレーティングシステムの高速リカバリ技術,資源管理機構のすり替えなど,古典的な応用分野とは一味違った分野での新たな可能性を開拓しています.
Nextインターネット環境におけるさまざまなセキュリティ対策について研究を行っています.特に力を入れているのが次のふたつです.ひとつは,マルウェア (malware) と総称される悪意あるソフトウェアからコンピュータを守る技術についての研究です.ウィルスやスパイウェア,ボットなどもマルウェアの仲間です.もうひとつは Web2.0 向けのセキュリティ対策技術です.
まずはマルウェア対策技術について説明します.従来のマルウェア対策技術のほとんどは「後追い」の技術です.新しいマルウェアが発見されるたびにその対策をとる必要があります.ウィルス・チェッカーを導入しても,頻繁に定義ファイルを更新しなければならないのは,そのためです.河野研ではマルウェアの動作そのものを監視することで,定義ファイルによらない新しいマルウェア検出技術の創出を目指しています.仮想化テクノロジーなども利用しながら,スパイウェア,ルートキット,ボットなどへの感染をほぼ 100% 発見できる手法を確立しています.マルウェアの動作解析ツールの研究・開発でもトップクラスの成果をあげています.
もうひとつのターゲットは Web2.0 向けのセキュリティ対策技術です.Web2.0 を利用したウェブページは対話性が高く利便性が高いものになります.その一方で,どうしてもプログラミングが複雑になりがちでセキュリティ・ホールを完全に取り除くのは大変に難しくなっています.河野研では Amberate という脆弱性自動発見ツールの開発を進めています.Cross-Site Scripting, SQL injection, CSRF, Session Fixation などの脆弱性を効率よく発見することが可能になっています.
Nextインターネット時代を支えるサーバコンピュータ上で動くソフトウェアは大規模かつ複雑な構造を持っています.24時間365日の安定稼働を実現するためには,スキルのあるエンジニアによる 24 時間体制での監視・保守・運用が欠かせません.本プロジェクトでは,コンピュータ自身が自身を監視・保守・運用してくれるような自己修復可能なソフトウェア基盤の実現を目指しています.
現在までに次のような要素技術を確立してきました.ひとつは,パフォーマンス異常の兆候をいち早く,確実に検出する技術です.ベンチマークを用いた実験室レベルの検証とはいえ,数多くの予兆を正確に検出できることを実証しています.もう一つの成果は,ウェブサーバの自動チューニング機構です.Apache ウェブサーバを対象に性能パラメータを自動的にチューニングしてくれる機構を開発しました.ワークロードの変化にあわせて常に最適なパラメータ設定を維持してくれます.
Next広域分散環境上のクラウド・コンピューティングの実現を目指し,ExaCloud というクラウド基盤の開発を進めています.ExaCloud は世界中に分散したデータセンターを有機的に結合し,Service-Level Agreement (SLA) を安価に保証できるクラウド基盤を目指しています.ExaCloud を用いると,世界中のデータセンターにサーバが最適配置され,無駄なく確実に,可用性や応答性などの品質を保証してくれます.
ExaCloud ではさまざまな技術をうまく融合しながら高い機能を提供しています.現在では,ネットワーク座標系とコンシステント・ハッシングを融合したサーバ配備基盤が稼働しており,クライアントからの需要の分布に応じた最適なサーバ配備が達成できるようになっています.さらには Key-Value ストア,広域ライブマイグレーションなどの先端技術との融合を進めています.
Our Members※以下の外部リンク先は各個人の責任で管理されており,当研究室で内容の保証は致しません.
杉本 学 ( 2年 )
巴 統哉 ( 2年 )
安野 直樹 ( 2年 )
相原 啓汰 ( 1年 )
伊東 拓海 ( 1年 )
菊地 隆文 ( 1年 )
庄司 豊 ( 1年 )
鈴木 慶汰 ( 1年 )
名取 廣 ( 1年 )
石崎 智也 ( 4年 )
鮫島 太朗 ( 4年 )
畑 輝史 ( 4年 )
平松 勇人 ( 4年 )
松本 武大 ( 4年 )
河野研究室への連絡等は以下の通りです
〒 223-0061
横浜市 港北区 日吉 3-14-1
慶応義塾大学
理工学部 情報工学科
河野研究室
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矢上キャンパス 26棟 1階 106号室 (学生室)